しっぽが下がるトイプードル

犬のしっぽや断尾について、トイプードル・ティーカッププードルの老舗ブリーダーがどこよりも詳しく、そして分かりやすく解説いたします。弊社が運営する動物病院OCEAN'S PET CARE CENTERの獣医師が監修しておりますので、トイプードルのしっぽについての正しい知識をご提供いたします。最後までご覧いただき、みなさまのプードルライフにお役立ていただけましたら幸いです。

監修者 監修獣医師 庄司良美

庄司良美先生 獣医師

麻布大学 獣医学部獣医学科卒。横浜市港南区にある動物病院オーシャンズペットケアセンター勤務。「獣医師」及び「ペット栄養管理士」の資格を保有。予防医療を専門として、常に動物たちとご家族のお話に耳を傾け、寄り添う医療相談を行っております。

このページの目次

  1. しっぽでわかるトイプードルの気持ち
  2. トイプードルのしっぽの形【カット写真集】
  3. トイプードルの断尾について
  4. トイプードルのしっぽで見分ける優良ブリーダー
  5. さいごに

しっぽでわかるトイプードルの気持ち

トイプードルだけではございませんが、犬の気持ちはしっぽの動きや状態にも表れます。
トイプードルを飼っている方は、愛犬ちゃんがしっぽをどのように動かしているか?よくご覧になってください。
また、子犬ちゃんのお迎えをご検討中の方は、運命のパートナー選びのご参考になれば幸いです。

しっぽを振る意味

高速でしっぽを振るトイプードルの動画

これは皆様、ご存知ですよね?
トイプードルだけではなく、犬はしっぽを振ることで、
嬉しい、楽しいといった明るい感情を表します。

実は一口にしっぽを振ると言っても、振り幅や速度に違いがあります。
個体差もありますが、基本的には感情の度合いと比例します。

とても嬉しい時はブンブンと幅広く、素早く振りますし、
ちょっと嬉しい時は細かく幅狭く、素早く振ります。

また、何か嬉しいことを期待している場合もしっぽを振ります。
例えば、ご飯の時にご飯の袋からカサカサと聞こえると、これからご飯がもらえることがわかって、緩やかに幅広めにしっぽを振ります。

しっぽによる感情の表現は、トイプードルだけではなく、すべての犬に共通する行動です。

しっぽが下がる意味

しっぽが下がるトイプードル

ワンちゃんがしっぽを下げている時は、
恐怖・不安を強く感じて萎縮してしまっている感情を表します。

わかりやすいのが、雷に対してです。
ゴロゴロゴロゴロ〜と低く唸るような音で、
次の瞬間ドォーーーーーン!!と響く雷音。

トイプードルだけでなく、多くの動物は雷の存在を認知しておらず、
どこからともなく聞こえてくる雷には、恐怖に感じる子も多くいます。

強い恐怖や不安を感じた時に、犬はしっぽを下げて、どこかに身を隠したりします。

しっぽを下げて走るトイプードル

先ほどのしっぽを下げる状態にも近いのですが、
恐怖や不安を感じ、警戒、思考、これから起こるだろうことを経験から想像している状態です。
わかりやすい例が、飼い主さんが見ていないところで、
やってはいけないとわかっているイタズラをしていて見つかってしまったケースです。

夢中になってイタズラをしていたところ、飼い主さんと目が合い、
「あ、、、、」という表情と共に、しっぽは水平よりもやや下り、姿勢を低くして逃走。
自分のケージやハウスに入り、「すいません・・・・」みたいな表情。

トイプードルを飼っている人なら、一度や二度は経験があると思います。

可愛いですよね。
個人的に大好きです。

上向きしっぽの意味

トイプードルのふさふさしっぽ

しっぽを上向きに、目を輝かせているプードルちゃんをよく見かけるかと思います。
真上に90度、よりもやや後方80度くらいでしょうか。
ピン!と立っているのが特徴です。

これは興奮している、または興奮し始めている状態です。
他のワンちゃんに遊ぼうよ!とちょっかいを出す時や、
飼い主さんとおもちゃで遊んでいる時に、投げてもらうおもちゃを見つめて
しっぽをピンとさせているなどがわかりやすいと思います。

バッチ来い

しっぽとお尻を上げるトイプードル しっぽとお尻を上げるトイプードル その2 しっぽとお尻を上げるトイプードル その3

しっぽだけではなく、お尻まで上に突き出すような体勢は、何かに夢中になっている事の表れです。

夢中になって豚耳やおもちゃをカミカミする時、
飼い主さんと遊んでいる時、他のワンちゃんと遊んでいる時、遊ぼうよと誘っている時などに、この姿勢、体勢になる子がおります。

私は、バッチ来いと呼んでおりますが、正しい呼び名とかあるのかな?

しっぽを上向きにピンと立てている姿勢と似ておりますが、
もっとノリノリな状態です。

しっぽだけでは足りずにお尻まで上がってしまう姿勢は、
トイプードルにもよく見かけます。

トイプードルのしっぽの形【カット写真集】

丸いポンポンカット

トイプードルの丸いしっぽ

トイプードルのしっぽの付け根から、先端にかけて全体を丸く仕上げたカット。
毛量、毛質に左右されるので、このカットができる子は限られます。

ウインナーカット

トイプードルのウィンナーしっぽ

これは文字の如く、ウインナーの様な形に仕上げるカットです。
しっぽの動きがわかりやすく、ピコピコしているので可愛らしいです。

ふさふさカット

しっぽが上がるトイプードル

少し伸ばして、ふさふさに優雅な感じに仕上げるカット。
最近、人気が出てきているカットです。

ライオンカット

断尾していないトイプードルのしっぽ(ライオンカット)

ライオンは猫科の動物ですが、トイプードルならライオンのしっぽも再現可能です。
好みが別れるカットだと思いますが、似合う子には似合うカットです。

お尻が可愛いしっぽのカット集

ここで、トイプードルのお尻好きである、私藤田が厳選したお尻を
画像でご紹介したいと思います。
私と同じお尻好きなら、グッと来る画像で取り揃えておりますのでご興味がございましたらぜひご覧くださいませ。

トイプードルのしっぽ画像集

トイプードルの断尾について

トイプードルをはじめ、しっぽを切ること(断尾)が習慣化している犬種が存在します。
生まれつきトイプードルのしっぽは短い、と思われている方も多くいらっしゃいます。しかし、トイプードルの本来のしっぽは長く、子犬の頃に断尾をすることが一般化されてしまっています。

断尾する犬種として、トイプードルの他に、ジャックラッセルテリア、ヨークシャーテリア、シュナウザー、ミニチュアピンシャー、コーギー、コッカースパニエル、ドーベルマン、ボクサーなどがあげられます。

なぜ断尾がされるのか?その理由を詳しく解説をしていきたいと思います。

トイプードルのしっぽを切る理由

大昔は断尾をすることで、病気の予防になると信じられていました。狩猟犬においては、長いしっぽが不必要とされ、断尾されていた歴史的な背景があります。これらの理由により、犬種標準(犬種ごとの理想的な体型や容姿を細かく定めた基準)にも、習慣化した断尾が残ってしまいました。

犬種標準は時代とともに改定が行われておりますが、「プードルは断尾が標準である」との記載がアメリカンケネルクラブ(AKC)には今なお残っています。

Tail straight, set on high and carried up, docked of sufficient length to insure a balanced outline. Major fault: set low, curled, or carried over the back.

(日本語訳)
尾はまっすぐで、高い位置に付き、上に持ち上がり、バランスの取れたアウトラインを保つために十分な長さで断尾されている。主な欠点:低い位置に付いている、カールしている、背中の上に乗っている。

引用:American Kennel Club "Standard of the Poodle"

日本の血統書管理団体ジャパンケンネルクラブ(JKC)が加盟する国際畜犬連盟(FCI)においても、暗黙的にトイプードルは断尾が標準とされてきましたが、2024年4月にようやく「もはや断尾は認められていない」との記載が追加されました。

TAIL: Set on quite high at the level of the loin (ideally carried at "ten past nine" compared to the topline). Tail docking is no longer authorized.

(日本語訳)
腰の高さにかなり高く付く(トップラインと比較して「9時10分」の方向に掲げているのが理想的である)。断尾はもはや認められていない。

引用:Fédération Cynologique Internationale "CANICHE(Poodle)"

断尾してないトイプードルのしっぽの長さ【比較画像】

歴史的な背景や犬種標準により、弊社でも過去には断尾を行っておりましたが、
現在は原則、弊社で産まれたトイプードルちゃんは断尾していません。

トイプードルの断尾しているしっぽ(左)と断尾してないしっぽ(右)の比較画像がこちら

トイプードルの断尾しているしっぽ(左)と断尾してないしっぽ(右)

トイプードルのしっぽで見分ける優良ブリーダー

弊社のトイプードルちゃんは断尾しない事をお伝えいたしましたが、しっぽには長さ以外にも優良ブリーダーを見分ける方法があります。

トイプードルはご存知の通り、もこもこの被毛に覆われた犬種です。
毛量や毛質はカットや可愛さに繋がってくる大切なポイントです。

特にしっぽは心臓から最も遠いため血液が運ばれにくく、しっぽの被毛には健康状態が現れやすい特徴があります。これからトイプードルをお迎えすることをお考えなさっている方は、ぜひご参考になさってください。

しっぽの先まで毛量が豊富か?

しっぽの毛量が多いプードル

毛量は皮膚が見えないくらい密集しているのが理想です。
トイプードルはカットを楽しめる犬種でもありますので、毛量はとても大切です。
先ほどご紹介したしっぽのカットもできるできないとなってしまいます。
トイプードルの毛量は個体差がありますが、健康状態が悪い子は変に少ないなど見てわかる特徴があります。

しっぽの毛に艶があるか?

程よく毛艶があり、1本1本がしっかりとしているのが理想です。
トイプードルの子犬の場合は子犬の被毛がダメになり、成犬の被毛に切り替わる時期があるので、子犬の月齢にもよりますが、体の被毛と違い、しっぽの被毛だけが元気がないなど特徴があります。

さいごに

しっぽの動作、しっぽのカット、しっぽの断尾、しっぽの特徴など分かりやすく解説をしたつもりですが、いかがでしたでしょうか?トイプードルのしっぽについて、詳しく解説をさせていただきました。これまで長くトイプードルに携わっておりますが、ここまで深くトイプードルのしっぽを深く掘り下げたことは私にとっても初めてのことでした。庄司先生ともトイプードルのしっぽについてお話を伺わせていただき、特に断尾について獣医師側からの意見、考えを伺うことができ、改めて断尾はする必要がないと再認識しました。
弊社のトイプードルちゃん達が幸せなご家庭に迎えられ、いつまでも幸せに過ごせる様にこれからも精進して参ります。

最後までご覧いただきありがとうございました!